カナダ政府の保険会社SGIは、2021年3月までに基準に満たせなかった工場のレバーレートを半額に引き下げることを決定した
RDN(Repairer Driven News)によると、2021年3月1日より、カナダのサスカチュワン州の保険会社は設備基準と人員の研修受講基準を満たしていないボデーショップのレバーレートを半額に引き下げることが決まったようだ。
2021年3月1日までに新しい基準を達成した認可ボデーショップは、それ以降も引き続き1時間あたり92.68カナダドル(=約70米ドル)のレバーレートをサスカチュワン州の州立保険会社からもらうことができる。
現在は認可ボデーショップであっても、期限までに基準を満たすことができなかったボデーショップは1時間当たりのレバーレートを半額の46.50カナダドル(=約35米ドル)に引き下げられてしまうとSGIより9月に通告されている。SGIは9月23日に発行した速報に、「我々の業界にとって重大な変更だと認識している。これはボデーショップと保険会社にとって重大な変化である。車が今まで以上に進化している今、私たちはこの車を安全に修理できる有能な工場を確保しなければならない。」と発表した。
「SGIが年間8万件もの修理を依頼しており、ほとんどのボデーショップがその収益の過半数を依存している状態だ。」CBCニュースは4月2日のニュースでカナダの自動車修理業界の現状を報告している。
SGIは2021年の3月までにI-CARカナダのゴールドクラスに合格することを求めている。また、スチール溶接の基準であるWCS03とミグブレージングのBRZ02の受講も終わらせなければならない。設備基準としても、1万アンペアのスポット溶接機、ブロンズワイヤーを使うことができるパルスミグ溶接機を必須としている。
記事のオリジナルは「Canadian govt. insurer SGI seeks to raise bar, will slash labor
rates of underequipped shops in 2021」で検索してご覧できます。
この記事の中で、様々な自動車メーカーの修理手順書を守ることや、溶接強度を確保する正しい溶接方法を守ること、最低限必要な技術習得を行うこと、など様々な条件を満たさなければならない、とSGIは明言している。また、条件を満たさない工場は廃業するか、または適切な修理ができる工場へ顧客を誘導しなければならない、とまで記載されております。
また、「適切な修理ができない工場は常に、そのような修理が入庫しても断らなければならない」とも書いております。
このような厳しい条件は、今も街中を走行している先進安全技術を搭載した車両を適切に修理するためには、ある意味当たり前のことであると思います。 今後、同じような条件がアメリカ国内で採用される可能性は非常に高いと思います。そして、その条件が日本国内でも採用される可能性もあると思います。(ここまで厳しくなるとは思いたくはありませんが…。)
今、できることは、できるだけ多くの技術講習に社員を参加させること、様々な基準を満たす修理設備を揃えること、そしてできるだけ多くの情報を収集し、様々な状況に対応できるための準備を怠らないことだと思います。
ケンテックスとしては、今後も多くのお取引先と末長くお付き合いさせていただくことができるよう、引き続き情報提供を続けていきたいと思います。